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橋の上の「殺意」 

橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか
(2009/06)
鎌田 慧

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読書に行き詰るとノンフィクションは手が出る分野です。
この本も図書館で見つけて、気が進まないけど手に取った本です。
畠山鈴香という名前を覚えているでしょうか?
我が子を橋の上から突き落とし、隣家の子供を殺した事件です。
気が進まないなと思った理由は、とにかく彼女のイメージの悪さからなのです。
マスコミに映し出される姿は、ヒステリックに叫び鬼女そのもの。憔悴している姿も芝居がかって見えるし。
そして彼女に対する噂。育児放棄、男出入りが激しい、男が家にくれば殺された彩香ちゃんは外に出される、だらしがない、生活力がない…どれをとっても同情の余地はないのです。

しかしこの本に書かれている彼女の生い立ち、父親からの暴力、学校生活でのいじめ、結婚生活等々知れば知るほど彼女が哀れに思えてくるのです。
決して彼女の犯した罪は許されるものではないのですが、マスコミによって作られてしまった畠山鈴香像には疑問符が残るのです。
マスコミの取材はすさまじいものがあったようで住民に多大な迷惑をかけたようです。
情緒不安定になる人もいたそうです。
事件を起こしマスコミを連れてきたことで、住民の憎悪は彼女に向けられたのです。
事件当時彼女は精神を患い精神安定剤、睡眠薬などを常用していて、体調も優れなかったようです。
そのせいか彩香ちゃんに対する世話は最低限のことしか出来てなかったようです。
だけど決して疎ましく思ったり育児放棄をしてたわけじゃないのです。
経済的にも追い込まれてたようです。離婚してからも元夫からの養育費はすぐに送ってこなくなったそうです。体調も悪く働くのもままならない。
いろいろな方面で彼女は追い込まれてしまっていたのです。

彩香ちゃんの死の真相ははっきり言ってよくわからないのです。
その部分だけ彼女の記憶がないのです。だから事件後すぐに事故処理として扱われていたのにも関わらず事件ではないかとビラ配りまでして騒いでいるのです。
この時警察がよく調べていたらもう一つの事件は起こらなかったかもしれません。
警察の取調べは強引だったようです。自分達の失態を隠すかのように。
弁護士もこの地域は過疎地域だったようです。
いろいろな意味で問題があった事件だったんだなと思います。

さて裁判員制度もはじまりましたね。作者はこの裁判員制度にも問題提起してます。
マスコミによる先入観でもしこの裁判が行われていたら、どういう判決になったのでしょう。
畠山鈴香の裁判は無期懲役という判決で終わっています。
遺族からしたらやるせない思いでしょう。
事件を裁くというのは本当に複雑ですね。

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