スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

死の泉 

死の泉 死の泉
皆川 博子 (1997/10)
早川書房
この商品の詳細を見る


読み終わった直後…感嘆の溜息が漏れてしまいました。
す、素晴らしい。
第二次大戦中のドイツ、それもナチスの施設「レーベンスボルン」が舞台。
「レーベンスボルン」というのは、純粋なアーリア人を増やすために出産が奨励され
未婚で身ごもった女性が出産を行う施設。
物語は私生児を身ごもったマルガレーテがこの施設に入るところから始まる。
赤ん坊や孤児として連れて来られた子どもたちの喧騒の中、美しい歌声が響く。
エーリヒ少年の歌声だ。その声に魅了されたSSの医師クラウスは、彼を養子に迎えいれるのだが、
エーリヒの兄的存在のフランツも養子とする。
クラウスは二人の子供の母となるよう、出産を終えたマルガレーテに求婚する。
マルガレーテは生まれた子ミヒャエルのことを考え結婚を受け入れる。
同じように未婚の母としてレーベンスボルンにやってきた女たちの妬みや反感を買うのです。
そりゃそうですよね、次々と収容されてくる子供たちの世話に明け暮れ戦争の恐怖に怯えるそばで
自分たちと同じ境遇のはずのマルガレーテは優雅に暮らしているんですものね。
クラウスのエーリヒの声に対する執着もすごく、ぞっとさせられるのです。
クラウスが研究していることも、これまた恐怖なのですよ。
どこかの本で目にした記憶があり、それほどの衝撃はなかったのですが、初めて読むかたには
かなりの衝撃だったのでは…
でも何の本だったのか思い出せずモヤモヤしながら読んだのでした。
エーリヒとフランツはじつはドイツ人ではなく、ポラーンドから連れ去られた子達で、マルガレーテ同様
クラウスに怯えながら暮らさなければいけなかったのです。
戦況は日々圧迫していき、どうなるのかハラハラしながら読むのですがこんなところで~
というところで1章が閉じられてしまいます。
そして2章が始まるのですが、戦後15年となっており、あれこの人は…という人が多々現れます。
過去との繋がりが絡み絡み合って、濃密で秘密めいた物語が繰り広げられていくのです。
最後の最後で驚愕の事実が…
綿密に語られていた1章だったのですが、2章は幻想の部分も多く何がどうなってるのか
困惑させられるところが多く、結末も唐突すぎるといった感想も見受けられました。
しかし私はこの2章のほうが好み。
謎めいていて不条理なところもあって、面白い~。
成長したエーリヒにフランツも魅力的なのですよ。
もうちょっとこっちに焦点が当たってほしかったかな~。
深く掘り下げられた人物がいないんですよね。
でもそこが本書の魅力なのかもしれないです。
1章でのマルガレーテは保身的でどこか好きになれなかったのですが、彼女は彼女で大きな代償を
払っていたのかもしれないですね。
戦争中とはいえ、人道が無視された行為の数々。
実際にこれと同じようなことが起こっていたと考えると、身の毛がよだつことです。
この1冊かなり濃厚でまるで長編映画を観ているようでした…

SNS「本をよむ人々。」での読書会の4月の課題本でしたが、以前より読みたかった本。
読むきっかけを与えてくれてありがとうございました。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://bonhondana.blog16.fc2.com/tb.php/172-fda71940

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。