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青い鳥 

青い鳥青い鳥
(2007/07)
重松 清

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村内先生は非常勤の国語の教師。
国語の教師なのに吃音でうまくしゃべれない。
「タ行」と「カ行」と濁音は特につっかえてしまう。
うまくしゃべれないから「大切なこと」しかしゃべらない。
心に問題を抱えている生徒達に「ひとりぼっちじゃない」ことを伝えるために…

中学生という繊細で微妙な年頃の少年少女たちが語りかけてきます。誰も自分を理解してくれないのではという心の叫びにも似た気持ちを。
その小さなシグナルを見落としがちな大人たち。でも村内先生はそばにいて大切なことを伝えてくれるのです。
どの話もうまくしゃべれない先生の言葉が心に響きました。印象的だったのは「静かな楽隊」
中学受験に失敗し公立中学に通うあやちゃんはクラスの女子の中心人物。彼女はとても意地悪です。中学生ってこんなに残酷なのね。
仲良しの輪からはずれないように、と思っても平気でそれを踏みにじってしまう。
トゲのある言い方しか出来なかったり、相手を追い詰めてみたり。
先生は伝えることが出来たのでしょうか…
こんな先生がいてくれたら…と読まれた多くの人は思うでしょう。
現実はどうでしょうか?ここに登場してくる大多数の生徒のように先生の吃音を恥ずかしく思い困ってしまうのではないでしょうか?保護者も授業の進み具合を心配するのではないでしょうか?
先生の伝えてくれる「大切なこと」はすぐには伝わらないのかもしれません。
だけどきっと先生を必要としている先生はいるのです。先生によって救われる生徒は必ずいるはず。
最後の「カッコウの卵」では先生の教え子だったてっちゃんが先生を見かけ慕ってきてくれます。
先生嬉しかっただろうな…

重松さんは苦手です。嫌いじゃないのです。リアルで痛いのが苦手なんです。
きゅーっと胸が痛んでしまうのです。
この本もきっと子供が楽しく学校に行くことが出来てなかったら読めたかどうだか…
無事に読み終えたので、他にも重松作品を手に取ってみようと思ってます。

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告白 

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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校内のプールで愛娘が水死した中学校女教諭が終了式の日に行った告白。
それはこぼれたミルクの一滴のように、波紋を広げていく…

ネットで賛否両論の話題の本をやっと読むことができました。なるほど賛否両論ですな。
といいつつ私は引き込まれました。次々に語られていく言葉に。
大人の視線から見れば、何を考えているのかわからない中学生も、じつは幼い子供なのですよね。
善悪の判断がつかないという以前に何か欠けているのかもしれないですね。
しかし復讐とはいえ中学生に恐怖を植え付けてしまったというのいはいかがなものか。
それも関係のない生徒にまでもね。
こう考えるとかなり悪い読後ですよね。でもそこまでイヤじゃなかった私って…


造花の蜜 

造花の蜜造花の蜜
(2008/11)
連城 三紀彦

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一人息子が幼稚園から連れ去られる。しかし幼稚園の先生は、母親である香奈子に引き渡したという…
連れ去ったのは誘拐?それとも離婚した夫か?

誘拐事件が起こるのですが、その人間関係も複雑。誘拐されたのは出戻りの香奈子の息子圭太。
香奈子の実家は倒産寸前の印刷工場。母は宗教に依存し、父は金策に駆け回る。兄一家も同居。
一方離婚した夫は歯科医で裕福。おまけに離婚後すぐに愛人と再婚。
いったいどこの誰が誘拐したんだ?身代金は夫が出してくれるのか?それとも狂言?
これだけでもぐいぐい読めてしまうのですが、この誘拐事件そのものが奇妙なのです。
なんなんだ、これはどういうことなんだと思っていたらいつの間にかまったく違うところに連れていかれてしまったというかんじです。
まるでだまし船ですね。この騙され方は…好きです。
途中もどかしい思いもするのですが、新聞連載だったから仕方ないのかな。
それぞれの登場人物の心情も細やかなのですが、なぜかどの人物にも感情移入できないんです。
子供を誘拐された母親にすら。心の奥では何を思っているのか、皆わからないのです。
こういうとこが連城さんのねばっこさだと思うんですよ。
しかし最後の話は必要だったのかどうだか。あざやかに獲物をかさらっていくルパンなのですかね…

虎と月 

虎と月 (ミステリーYA!)虎と月 (ミステリーYA!)
(2009/02/03)
柳 広司

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ミステリーYA!シリーズです。「山月記」の後日談といいましょうか…
「山月記」で虎になってしまった男李徴。その息子がどうして父は虎になったか?を知るために旅に出るという話です。
自分も虎になってしまうかもしれない、こういう思いが14歳の少年を旅に向かわせるのです。
この話が描かれている当時の中国がどのような政治不安を持っていたか。そのために民はどのような暮らしを強いられていたか。
いろいろな要素が絡んで、虎に成らざるをえなかった男の謎がほぐれてきます。なるほどね。
そして主人公である少年の成長記でもあるんですね。経験をつんでひとつ大人に近づいた少年。
YAならではだと思います。

「山月記」を習ったのは高校だったかな。もうウン十年前ですわ(笑)
当時もなぜかこの話は好きだった記憶があります。
久しぶりに読んでみる?とも思うのですがさてさてトシをとってしまった頭で読むことができるでしょうか(笑)

田村はまだか 

田村はまだか田村はまだか
(2008/02/21)
朝倉 かすみ

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深夜のバー。小学校クラス会の三次会。四十歳になる男女五人が友を待つ。大雪で列車が遅れ、クラス会同窓会に参加できなかった「田村」を待つ。
田村はまだか?

面白かったです。うん、面白い。
最初はマスターから見ていた5人。一人は常連だけどあとは連れられてきたメンバー。
話が進むうちに一人一人名前がわかっていく。そしていつしかマスターも読んでいる者も田村を待っている。
田村はまだか?
皆を待たせたくなる田村。そんなに人気者だったのかというとそれは違う。
男にだらしない母親と二人暮らし、遠足もおにぎりだけ、いつも虎刈り=貧しい=不幸といった印象づける田村少年。だけど違うのです。そんな田村じゃないのですよ、皆が待ってるのは。

「どうせ死ぬから、今生きているんじゃないか」

と小6で言い放つ田村少年なのですよ。気になる方はお読みくださいませ。かっこいい小6なのですよ。
年下の高校生にほのかな恋心を抱く保健室の先生の話が好き。いつまでたっても女は少女な部分があるんだね。
それにしてもマスターですが、なぜにマスターになったんだろ?そのへんも気になったなー。
いくら会社をやめたからってなぜに?
過酷な運命を背負った田村でしたが後日談に救われ温かい気持ちで読み終えることができました。
いつかどこかでこのバー「チャオ!」のようなところで話を聞いてもらえたらなら…
マスターはなんと書き留めてくれるのでしょうか…

「どうせ死ぬから、今生きているんじゃないか」

頑張らなきゃね。

どこから行っても遠い町 

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人びとの、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。

最初の一編を読んだ時に、少し肩透かしをくらったかんじだったのですが、次々に読み進めていくと前の編に登場してきた人物が出てきていろいろ気になってくるのです。
この登場の仕方もあくまでもさりげないのです。
最後の一編を読むとなにかしら触れ合った人々は記憶にとどまるんだなと。
それがあくまで通り一遍の一であろうとなかろうと。そうやって日常は出来上がっていくんだと。
どの話もさりげない口調で穏やかに描かれているけど、これって結構ドラマチックですよね。
波乱万丈に思える人生も、本当は日常なのかもしれないのかしら…

一番印象に残った話は、雨の写真を撮るのが好きな女性と喫茶店「ロマン」の店主の話。
年代を超えて友情が芽生えてくる?ところがステキ。
「ねぇアタシを撮ってよ」なんて老女に言われたら…なんて粋なおばあちゃんなんでしょ。

いろいろなブログで感想を見たのですが、皆さん好評なんですよね。私がひっかるのは不倫の恋が多いってこと。
不倫ってそんなに日常的?結婚ってどんなもんなのかなと思いながら読んだのでした。

新世界より 

新世界より 上新世界より 上
(2008/01/24)
貴志 祐介

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こういう類の話はどちらかといえば苦手なのですが、これは面白かった!
といっても結構グロかったりするのですが(^^;
今から千年後の日本が舞台。その頃の人間は呪力を持ち暮らしていた。そこは子供たちが徹底的に管理されている世界だった。
十二歳の早季たちはグループで行った夏季キャンプで、あることを知る。これまで信じていた世界を覆すようなことを…
未知の生物を想像することは苦手です。でもそれを差し引いてもひきつけられるものがあった。
とにかく圧倒されてしまった。追い詰められていく恐怖にはこちらも冷や汗ものだし、早季たちが友を思う気持ちには切なくさせられる。
そして最後は人間としての倫理を問われたような気がする。決して未来の話じゃない、今に言い換えることができる話だと思う。
でも長かった…早季が過去をふり返るような手記といった形で書かれてるので、思わせぶりな書き方だったり、謎だらけだったりで、中盤までは勢いよく読めたのですが、終盤は結構きつかった。やりきれないところもあったからかな。最後はあれでいいのか?って私は思う。

新世界より 下新世界より 下
(2008/01/24)
貴志 祐介

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