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ミハスの落日 


ミハスの落日

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書評/ミステリ・サスペンス



貫井さんはホントに巧い!巧いんだけど地味なんですよね。
でもそんなところが、妙にしびれたりするのです。
本書もそう。巧いんですよ。最後に、してやられた!ってなってしまいます。
どれもが外国を舞台にした短編。異国情緒がとてもステキなのです。
あとがきによれば実際にその国々を旅されたそうです。納得。

「ミハスの落日」
ある富豪の老人に呼び出された青年。二人には何があったのか…
読んでいると、この話読んだことがある…と思ったらアンソロジー集の「大密室」に載ってました。
そのときも確か地味だけど巧いなぁと感心した覚えがあります。
1度読んだのに結末を思い出せないまま、読み終えてしまいました。
ミハスは見たこともない土地なのですが、風景が目に浮かんでくるんです。
静かな旅行地…そんな印象の残る1編でした。

「ストックホルムの埋み火」
ストーカーのビデオ屋店員が引き起こした事件。その捜査に携わった刑事。
この話が1番好みでした。ストーカーの身勝手な心理、刑事の過去、同じく刑事だった父とのしがらみが
話に奥行きを持たせ、話にひき込まれていくのです。
はっとさせられる結末も控え、貫井さんの巧みさに驚かされます。

「サンフランシスコの深い闇」
保険調査員の男が、ある人物に頼まれ事故で夫を失った未亡人を調べるのですが…
これはアメリカ映画を観ているように楽しめました。
警察の面々や、未亡人の女性、証言してくれる人々。
それぞれに個性的で、ホントにこんな映画見てみたい。
最後は少々ブラックですよね。この先がどうなったのか…気になるようなそっとしておきたいような…

「ジャカルタの黎明」
日本人が登場するのはこの1編だけですね。主人公の娼婦の客となったのがこの日本人。
なんだか怪しい人物なのですが、彼女の話を聞いたりと信頼を得ているのです。
娼婦となったのも身勝手な夫のせいで、抜け出ることも出来ず運命を受け入れるだけ。
そんな彼女のまわりで事件が次々と起こるのです。
この話もひっくり返されますね。巧いわ。
女性心理も巧みなんですよね。

「カイロの残照」
アメリカ女性からのガイドの指名。女性一人旅でただの観光ではなく訳ありな様子。
そして彼女の頼みを聞き手助けをするのだが…
若き日の過ちは大きな代償となってやってくる。
悔いても悔いても元に戻ることはできない。
読み終えてモヤっとします。どうすれば彼はよかったのか…


派手さはないけど、結構好みの短編集でした。
「空白の叫び」も好評なので近々読みたいな。

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死の泉 

死の泉 死の泉
皆川 博子 (1997/10)
早川書房
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読み終わった直後…感嘆の溜息が漏れてしまいました。
す、素晴らしい。
第二次大戦中のドイツ、それもナチスの施設「レーベンスボルン」が舞台。
「レーベンスボルン」というのは、純粋なアーリア人を増やすために出産が奨励され
未婚で身ごもった女性が出産を行う施設。
物語は私生児を身ごもったマルガレーテがこの施設に入るところから始まる。
赤ん坊や孤児として連れて来られた子どもたちの喧騒の中、美しい歌声が響く。
エーリヒ少年の歌声だ。その声に魅了されたSSの医師クラウスは、彼を養子に迎えいれるのだが、
エーリヒの兄的存在のフランツも養子とする。
クラウスは二人の子供の母となるよう、出産を終えたマルガレーテに求婚する。
マルガレーテは生まれた子ミヒャエルのことを考え結婚を受け入れる。
同じように未婚の母としてレーベンスボルンにやってきた女たちの妬みや反感を買うのです。
そりゃそうですよね、次々と収容されてくる子供たちの世話に明け暮れ戦争の恐怖に怯えるそばで
自分たちと同じ境遇のはずのマルガレーテは優雅に暮らしているんですものね。
クラウスのエーリヒの声に対する執着もすごく、ぞっとさせられるのです。
クラウスが研究していることも、これまた恐怖なのですよ。
どこかの本で目にした記憶があり、それほどの衝撃はなかったのですが、初めて読むかたには
かなりの衝撃だったのでは…
でも何の本だったのか思い出せずモヤモヤしながら読んだのでした。
エーリヒとフランツはじつはドイツ人ではなく、ポラーンドから連れ去られた子達で、マルガレーテ同様
クラウスに怯えながら暮らさなければいけなかったのです。
戦況は日々圧迫していき、どうなるのかハラハラしながら読むのですがこんなところで~
というところで1章が閉じられてしまいます。
そして2章が始まるのですが、戦後15年となっており、あれこの人は…という人が多々現れます。
過去との繋がりが絡み絡み合って、濃密で秘密めいた物語が繰り広げられていくのです。
最後の最後で驚愕の事実が…
綿密に語られていた1章だったのですが、2章は幻想の部分も多く何がどうなってるのか
困惑させられるところが多く、結末も唐突すぎるといった感想も見受けられました。
しかし私はこの2章のほうが好み。
謎めいていて不条理なところもあって、面白い~。
成長したエーリヒにフランツも魅力的なのですよ。
もうちょっとこっちに焦点が当たってほしかったかな~。
深く掘り下げられた人物がいないんですよね。
でもそこが本書の魅力なのかもしれないです。
1章でのマルガレーテは保身的でどこか好きになれなかったのですが、彼女は彼女で大きな代償を
払っていたのかもしれないですね。
戦争中とはいえ、人道が無視された行為の数々。
実際にこれと同じようなことが起こっていたと考えると、身の毛がよだつことです。
この1冊かなり濃厚でまるで長編映画を観ているようでした…

SNS「本をよむ人々。」での読書会の4月の課題本でしたが、以前より読みたかった本。
読むきっかけを与えてくれてありがとうございました。

九杯目には早すぎる 


九杯目には早すぎる

  • 著:蒼井上鷹
  • 出版社:双葉社
  • 定価:840円
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書誌データ / 書評を書く



第26回小説推理新人賞受賞作「キリング・タイム」を始め、第58回日本推理作家協会賞・短編部門の候補作に選ばれた「大松鮨の奇妙な客」他、「においます?」「私はこうしてデビューした」「清潔で明るい食卓」「タン・バタン!」「最後のメッセージ」「見えない線」「九杯目には早すぎる」を収録した短編集。

いろいろなブログで見た蒼井上鷹さん、概ね好評でブラックテイストだというので楽しみにしておりました。
私、ブラックなの大好きなのです。
でも読んでいくうちに、好みのピリッとしたブラックテイストではないことに気がついたのです。
ジトッというか、ヌメッというか…湿気の多いかんじなのです。
なんだか嫌な汗をかいたというような。
とういのも登場人物は華のあるヒロインでもなければ、勇ましいイケメンでもない。
くたびれたサラリーマンが主なのです。つまりちょっと現実的なのです。
日常でも起こりうる絡みあった関係に事件が繰り広げられていくのです。
それもささいな動機、掛け違ったボタンのようなきっかけで。
じつは自分の隣でもこんなこと起こってるのかもしれないという、」妙なリアルさがあるのです。
誰でもこの人は苦手、嫌いといった人っていますよね。
それが殺意に変わるということはまずないと思いますが、こういう小さな意識が殺意を呼び起こしてしまうって
ありえないことでもないんですよね…こういうところがじつは怖いんですよね。

でもこの蒼井さんって新人賞受賞作ってことは新人作家さんなんですよね。
スマートな文章ではないんですが、ちょっと気になります。
他の作品もこんなかんじなのかな。
ミステリー慣れしている人には、どんでん返しもなんとなくわかってしまうような気がするのですが
どうなのかな。

マルドゥック・スクランブル 排気 

マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
冲方 丁 (2003/07)
早川書房
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バロットがシェルの隠された過去がカジノのチップを手に入れるためカジノで賭け事を行っていくのですが、
これがディーラーとの対峙でバロットを成長させていくんです。
駆け引きが興味をそそられていきます。
最後には最大の敵ボイルドとの戦い…
バロットは自分を取り戻せるのか…

やっぱり最後はこうなるんだよねと思う結末だったのですが、感動できる終わりでもあったと思います。
異世界の話はちょっと読めなくなってきてるのが実感なのですが、面白いことは面白いんですよね。
もっと若く柔軟な頭の頃に読みたかったかも。

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