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エ/ン/ジ/ン 

エ/ン/ジ/ンエ/ン/ジ/ン
(2009/02/28)
中島 京子

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身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取った、葛見隆一。仕事と恋人を失い、長い人生の休暇にさしかかった隆一は、会場でミライと出逢う。ミライは、人嫌いだったという父親の行方を捜していた。手がかりは「厭人」「ゴリ」、二つのあだ名だけ。痕跡を追い始めた隆一の前に、次々と不思議な人物が現れる。記憶の彼方から浮かび上がる、父の消えた70年代。キューブリック、ベトナム戦争、米軍住宅、そして、特撮ヒーロー番組“宇宙猿人ゴリ”―。

父を知らずに育ったミライにとって父を知るということは自分の存在を知るということなんだと思う。
知りたいが怖い。怖いが知りたい。
積極的に調べるのは隆一だということからみてもそうなのだろう。
1970年代というのは、今では考えられないエネルギーを持った時代だった。ちょうど私が生まれたのもこのあたり。私の両親が若い頃がこういう時代だったとは思えない。彼らにとってこの時代を生きたということはどういうことだったんだろう…読んでいてふとそう思った。
数少ないキーワードからミライの父を探す過程は、同じく中島さんの「イトウの恋」を思わせる。こちらのほうが登場人物が濃かったせいか、いまひとつ感情移入ができなかったかな。
実際にこの「スペクトルマン」というヒーロー番組はあったのだそうだ。ヒーローものとしては珍しく環境問題を提起させるような番組だったらしい。
どことなく生まれてくる時代が早かったんじゃないかと思われるミライの母と重ね合わせたりして…
いろんな意味で思いがこめられた作品なんだと思う。

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ハブテトル ハブテトラン 

ハブテトル ハブテトランハブテトル ハブテトラン
(2008/12)
中島 京子

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東京で学級崩壊、無責任な担任のせいで学校に行けなくなってしまった小5のダイスケ。
2学期は祖母が住む福山市の松永の小学校に通うことになる…

ハブテトルとは…備後弁でむくれている、すねている状態のことです。広島でも使います。
この言葉が直接この話に関わっているというより、備後弁丸出しのあったかい人々によってダイスケの心がほぐれていく様子が描かれてます。
広島弁に慣れている私でもカタカナで書かれているとちょっと読みにくいかな。
でもやっぱりご当地ネタが満載で嬉しくなってしまいます。福山のガイドブックにもなるかな。朱華園のラーメンが食べたくなってきます(笑)
中島さんの友人が住まれているようで、毎年福山を訪れているそうです。なので詳しいんですね。
登場人物のなかでもハセガワさんが印象に残った人も多いでしょう。
でもこういうおじさん、今まで意識してなかったけど結構いるような気がします。あぁ昭和の香り…


さて小学生の高学年でも楽しく読める本なのですが、どうせなら子供が読める仕様にして欲しかったですね。
小中学生を持つ母から言わせると、この手の本は子供は手に取らないんですよ。小学生はふりがなや挿絵がないとね…
中学生になればこういう話は読まないんですよね。楽しい話だけにもったいないなー。

犯意 

犯意―その罪の読み取り方犯意―その罪の読み取り方
(2008/08)
乃南 アサ

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いよいよ裁判員制度の開始が近くなってきましたね。この本は裁判員制度に備えて、乃南さんの短編の後に弁護士で大学教授の園田先生の解説がついてます。
自分は事件なんかに巻き込まれない普通の暮らしをしていると思ってる人が大多数だと思うのですがここに書かれてるのはいつ誰が事件に巻き込まれるかわからないっていう話ばかりです。
少しだけのつもりがエスカレートしていった犯罪やホントに短絡的に衝動的な事件や訳もわからず被害者になっていったりというものばかりなんです。
そして裁判員に選ばれたら実際その裁判を目の当たりにしなきゃいけないんですよ。
テレビや新聞を通してだったら、あぁアイツが悪いとか客観的に見ると思うのですが、その事件の裏側を見なければいけなくなった時、どう判断するのか、自分の判断がその後を大きく変えてしまうかもしれないって思うとなんで裁判員制度なんて始まるんだろって思ってしまいます。
この本を読み終わった時、事件は身近なところで起きるんだと思うと気が重かったです。
特に幼児虐待の話は辛かった。虐待される子とそれを傍観していなければいけなかった子…
今もそういう子供たちがどこかにいるのではと思うと、辛い思いです。

空白の叫び  

空白の叫び 上空白の叫び 上
貫井 徳郎

小学館 2006-08-25
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いやぁびっくりした。想像してたのと全然違う話だったのですが、読むのが止まらなかったー。
育った環境も違う中学3年生の少年3人が、出会い、そしてその後の話です。
上巻ではなぜ彼らがある犯罪を犯してしまったのか。その心情を丹念に描いていくのです。
一人の話が終われば次が始まり、気になって気になって止まらない止まらない。
それに中学3年という年齢なのに、どこか達観していて大人なんですよ。
こんな子供おらんよと思うのですが、こういうくすぶった気持ちを抱えている子はたくさんいるのかも
しれないですね。
もっと自分の気持ちを吐き出せたら…運命も変わっていっただろうに。
後半は転がるようでしたね。そんなことしたらいかん~と思いながら、なぜなぜと叫びながら読みました。
最後は昼メロか!と思うような結末でしたが。
いろんな十字架を背負って生きていかねばいかんのですね。
自分の犯した罪と向き合って自分の生きる道を切り開いて進んで行ってほしいです。

空白の叫び 下空白の叫び 下
貫井 徳郎

小学館 2006-08-25
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FC2のAmazonの画像が表示されないのはなんでだろ?

平成大家族 

平成大家族平成大家族
(2008/02/05)
中島 京子

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72歳の元歯科医・緋田龍太郎が妻の春子、妻の母のタケ、ひきこもりの長男克郎と暮らす家に、
事業が失敗した長女逸子の一家3人、離婚した妊婦の次女友恵が同居することに。
にわか大家族になった緋田家の明日は・・・!?


章ごとに視点が変わっていくリレー方式となってます。
最初は元歯科医・緋田龍太郎。彼の元に次々と娘が帰ってき、家族が増えていくのです。
別棟に暮らす母を母屋に移し、そこに長女一家が入り、子供たちが使っていた部屋に次女が入るのですが、
長女一家の息子は思春期真っ只中、親と川の字で寝るなんて~と、庭の倉庫に駆け込むのです。
しかし普段から龍太郎と不仲の引きこもりの長男がこれまた母屋での居心地が悪くなったと倉庫と
自分の部屋と交換を申しでるのです。といった具合に部屋割りだけでも苦悩が。

そのうえそれぞれにいろんな問題を抱えていて、それが微妙な距離感を生んでいるようで
家族といえども一緒に住むのは、たいへんだなーと思わされます。
一番面白いなと思ったのが長男。彼は引きこもりを続け30も超えてしまった男。
はたから見ると、なにをやっとんじゃ?と思うのですが、彼は彼なりに考えがあってのことなんですよ。
誰にも理解されず不幸なのかと思えば…
もんもんとしたゆるさが中島さんらしく、幸せがぼんやりとやってくるとこがこっちも嬉しくなってしまうほどです。

ラストもにっと笑って終われそうなかんじで、よかったです。知らぬは夫ばかり…なんてね(笑)


村田エフェンディ滞土録 

村田エフェンディ滞土録村田エフェンディ滞土録
(2004/04/27)
梨木 香歩

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『家守綺譚』にも少し登場した村田のトルコでの生活が綴られてます。おしまいのほうに綿貫も登場し、
あー友達なんだ。と思ってしまいます。
当時異国で暮らす日本人というのは、ホントにまれなことなんでしょうね。
なにもかもが異世界に感じられ、その苦労が端々に感じられます。
トルコでの生活ですが、トルコ以外からの外国人(ギリシャ、イギリス、ドイツ)も一緒に住んでいるのです。
皆考古学者ってことなんですよね。
遺跡を掘り返すってことは、歴史を調べる上では大変重要なことだけど、国が違えば考えも違うんですよね。
私達が外国でよかれとやっていることも、ホントはありがた迷惑なのかもしれないと思ってしまいました。
和やかな暮らしぶりなのですが後半になるにつれ戦争の影が押し迫ってきます。
トルコという国はヨーロッパとアジアの境目なんですよね。
遠くにて友を思う気持ちが切なかったですね…

『家守綺譚』とご一緒にどうぞ。

こころ 

こころ (集英社文庫) こころ (集英社文庫)
夏目 漱石 (1991/02)
集英社
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高校の頃に教科書に載ってた「こころ」を読み返してみる。

恋人を得るために親友を裏切り、自殺へと追いこんだ。その過去の罪悪感に苦しみ、自らもまた死を選ぶ…

私が「先生」と出会うのは鎌倉の海。師と仰ぎ「先生」に入れ込んでいく私。
高校生の頃は「先生」と私の関係がいまいちわからなかったのですが、こっこれは今でいうBL?
こんな昔から…と思うがよく考えれば戦国の世も武将はお小姓に手をつけてたり
家光だって女に興味がなかったではないか。
別段不思議なものではなかったのかもしれない。
そんなことはさておき、インテリとは難儀なものですね。
「先生」が犯した過ちは、今の若者には理解しがたいものでしょう。
Kにはっきりと言えばよかったものを、なぜに?
Kもなぜに死ぬ?生きておればよかったものを。
そうかと思えば遺産相続など現実味あるところも。
人間不信になるのは理解できるけど。

父親の死より「先生」を選んだ私の行く末も気になるところです。
彼も悲観して後を追ってしまうのでしょうか。
集英社文庫で読んだのですが、吉永みち子さんの「鑑賞」が面白かった。
教科書からこういった古典がはずされていくのは、時代背景が今の高校生に理解できない
という理由だという話題を耳にしたのだけど、そうなのかもしれないなぁと思ってしまった。
でもこういう時代もあったんだってことは、教科書で教えてくれてもいいんじゃないかしら。

FUTON 

FUTON FUTON
中島 京子 (2007/04/13)
講談社
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日本文学を研究するデイブ・マッコーリーは、教え子である日系の学生エミを追いかけて、
学会に出席するという名目で東京に行く。
エミの祖父の店「ラブウェイ・鶉町店」で待ち伏せするうちに、曾祖父のウメキチを
介護する画家のイズミと知り合う…

デイブが研究しているのは田山花袋の『蒲団』
この主人公である小説家・竹中時雄は、若い女学生芳子を家に下宿させるのですが
芳子には想い人が現れ、すったもんだのあげく郷里に帰ってしまい、芳子の使っていた
蒲団に顔をうずめて泣く話だそうです。
それをデイブが妻の視線から書き直しているというのですが、竹中とデイブが重なるんですよ。
若い女の子に振り回される中年男。
でもいやらしくなく、微笑ましいくらい。みっともなさがかわいらしく感じてしまいます。
エミの曽祖父のウメキチの嘘かまことかの話も、面白い。
実際に現実を生きているのか幻想の中で暮らしてるのか。
でも確かに生きているんですよね。
中島さんらしいゆるい日常が、なんともいえません。
デイブにもウメキチにも幸せが訪れますように。
女どもは勝手に幸せをつかんでいくんだろうな。
『蒲団』も機会があれば読んでみたいけど、読まないだろうなぁ。
きっとデイブ版のほうが、気持ち的にも楽しめるものだものね。

カカオ80%の夏 

カカオ80%の夏 カカオ80%の夏
永井 するみ (2007/04)
理論社
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女子高生の凪は、クラスメートの雪絵の服を買うのに付き合う。
しかし雪絵は夏休みに入ってすぐに、書置きを残し行方不明になってしまう。
雪絵の母から問われたことから凪は雪絵を探すことにする…

理論社のミステリーYA!シリーズです。
いつもの永井さんは大人の女性が主人公なのですが、今回はYAということもあり女子高生。
これがなかなかイケてる。
凪はちょっとクールな女の子で一匹狼的なところもあり、女の子が憧れる女の子では。
ナンパな男の子に絡まれても、上手く対処してるんですよね。
ボディガードのような外人の知り合いもいてかっこいいんだわ。
こういう魅力的な主人公なので、テンポよい話も面白かったです。
出来すぎなとこもあるけど、それはそれでよし。中高生向きの本でもあるし。

いつもの永井さんらしく人の嫌な部分もちょっと見せてくれてます。
おばあちゃん方がいいわー。

このミステリYA!シリーズは執筆陣が豪華ですね。
これから刊行予定を見ているだけでも楽しみになってきます。

桐畑家の縁談 


桐畑家の縁談

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書評/国内純文学


小さな頃はいじめられっ子で、地味だと思っていた妹の佳子が「結婚することにした」と言う。
姉の露子は、無職で妹宅の居候であり人生の一休み中ともいえる。
妹の結婚相手というのも台湾からの留学生。
この姉妹の微妙な心の揺れを描いていく…

結婚…なんだか自分の立場が、露子でもなく佳子でもなく彼女達の母親に近づいているのをヒシヒシと感じた。
佳子の結婚に「大丈夫かい?将来はどうすんだい?愛だけじゃやってけないんだよ」と思ってしまう。
まったくなんだい、一抹の淋しさを感じてしまった。
露子の仕事に関してもそう。彼女自身やりたいことをはっきりとした形で見つけられずモンモンとしている姿に
今の自分を重ね合わせてみるものの、彼女とは立場が違い、可能性が残されている人生を羨ましくも思う。
やりたいことってなんだい、自分にできることってなんだい。
迷って迷って自分の思うように生きなさい…と告げたい。
やっぱり母親的立場だよなぁ。
彼女達の大伯父のように快活に暮らしていけたらいいのにな。

ただ…露子の元カレの登場にはいささか引きずるものがあった。
誰も大なり小なりこんな傷を持っているのかもしれない。
自分がバカだったのか、相手がずるかったのか。
決別が彼女を大きくしていくことだろう。
ウー・ミンゾンの優しさにホロリだわ。
言葉が通じなくても大丈夫なものなのかもしれない。
彼らが幸せになれるよう祈ることしかできないのかもしれない。
なんにせよ結婚して互いを思いやって生きていくのは彼らなんだから。

中島さんは笑いの中に涙ありといった印象で、好きな作家さんです。
今作はホームドラマのようであり、一人の女性の心情を綴ったものでもあり、いろいろな意味でも楽しめると思います。
あの大伯父の人生をもっと聞いてみたい気もします。
主人公もさることながら、こういう脇役まで光らせるとこが中島さんの魅力ですね。

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