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犯意 

犯意―その罪の読み取り方犯意―その罪の読み取り方
(2008/08)
乃南 アサ

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いよいよ裁判員制度の開始が近くなってきましたね。この本は裁判員制度に備えて、乃南さんの短編の後に弁護士で大学教授の園田先生の解説がついてます。
自分は事件なんかに巻き込まれない普通の暮らしをしていると思ってる人が大多数だと思うのですがここに書かれてるのはいつ誰が事件に巻き込まれるかわからないっていう話ばかりです。
少しだけのつもりがエスカレートしていった犯罪やホントに短絡的に衝動的な事件や訳もわからず被害者になっていったりというものばかりなんです。
そして裁判員に選ばれたら実際その裁判を目の当たりにしなきゃいけないんですよ。
テレビや新聞を通してだったら、あぁアイツが悪いとか客観的に見ると思うのですが、その事件の裏側を見なければいけなくなった時、どう判断するのか、自分の判断がその後を大きく変えてしまうかもしれないって思うとなんで裁判員制度なんて始まるんだろって思ってしまいます。
この本を読み終わった時、事件は身近なところで起きるんだと思うと気が重かったです。
特に幼児虐待の話は辛かった。虐待される子とそれを傍観していなければいけなかった子…
今もそういう子供たちがどこかにいるのではと思うと、辛い思いです。

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空白の叫び  

空白の叫び 上空白の叫び 上
貫井 徳郎

小学館 2006-08-25
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いやぁびっくりした。想像してたのと全然違う話だったのですが、読むのが止まらなかったー。
育った環境も違う中学3年生の少年3人が、出会い、そしてその後の話です。
上巻ではなぜ彼らがある犯罪を犯してしまったのか。その心情を丹念に描いていくのです。
一人の話が終われば次が始まり、気になって気になって止まらない止まらない。
それに中学3年という年齢なのに、どこか達観していて大人なんですよ。
こんな子供おらんよと思うのですが、こういうくすぶった気持ちを抱えている子はたくさんいるのかも
しれないですね。
もっと自分の気持ちを吐き出せたら…運命も変わっていっただろうに。
後半は転がるようでしたね。そんなことしたらいかん~と思いながら、なぜなぜと叫びながら読みました。
最後は昼メロか!と思うような結末でしたが。
いろんな十字架を背負って生きていかねばいかんのですね。
自分の犯した罪と向き合って自分の生きる道を切り開いて進んで行ってほしいです。

空白の叫び 下空白の叫び 下
貫井 徳郎

小学館 2006-08-25
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FC2のAmazonの画像が表示されないのはなんでだろ?

村田エフェンディ滞土録 

村田エフェンディ滞土録村田エフェンディ滞土録
(2004/04/27)
梨木 香歩

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『家守綺譚』にも少し登場した村田のトルコでの生活が綴られてます。おしまいのほうに綿貫も登場し、
あー友達なんだ。と思ってしまいます。
当時異国で暮らす日本人というのは、ホントにまれなことなんでしょうね。
なにもかもが異世界に感じられ、その苦労が端々に感じられます。
トルコでの生活ですが、トルコ以外からの外国人(ギリシャ、イギリス、ドイツ)も一緒に住んでいるのです。
皆考古学者ってことなんですよね。
遺跡を掘り返すってことは、歴史を調べる上では大変重要なことだけど、国が違えば考えも違うんですよね。
私達が外国でよかれとやっていることも、ホントはありがた迷惑なのかもしれないと思ってしまいました。
和やかな暮らしぶりなのですが後半になるにつれ戦争の影が押し迫ってきます。
トルコという国はヨーロッパとアジアの境目なんですよね。
遠くにて友を思う気持ちが切なかったですね…

『家守綺譚』とご一緒にどうぞ。

こころ 

こころ (集英社文庫) こころ (集英社文庫)
夏目 漱石 (1991/02)
集英社
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高校の頃に教科書に載ってた「こころ」を読み返してみる。

恋人を得るために親友を裏切り、自殺へと追いこんだ。その過去の罪悪感に苦しみ、自らもまた死を選ぶ…

私が「先生」と出会うのは鎌倉の海。師と仰ぎ「先生」に入れ込んでいく私。
高校生の頃は「先生」と私の関係がいまいちわからなかったのですが、こっこれは今でいうBL?
こんな昔から…と思うがよく考えれば戦国の世も武将はお小姓に手をつけてたり
家光だって女に興味がなかったではないか。
別段不思議なものではなかったのかもしれない。
そんなことはさておき、インテリとは難儀なものですね。
「先生」が犯した過ちは、今の若者には理解しがたいものでしょう。
Kにはっきりと言えばよかったものを、なぜに?
Kもなぜに死ぬ?生きておればよかったものを。
そうかと思えば遺産相続など現実味あるところも。
人間不信になるのは理解できるけど。

父親の死より「先生」を選んだ私の行く末も気になるところです。
彼も悲観して後を追ってしまうのでしょうか。
集英社文庫で読んだのですが、吉永みち子さんの「鑑賞」が面白かった。
教科書からこういった古典がはずされていくのは、時代背景が今の高校生に理解できない
という理由だという話題を耳にしたのだけど、そうなのかもしれないなぁと思ってしまった。
でもこういう時代もあったんだってことは、教科書で教えてくれてもいいんじゃないかしら。

カカオ80%の夏 

カカオ80%の夏 カカオ80%の夏
永井 するみ (2007/04)
理論社
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女子高生の凪は、クラスメートの雪絵の服を買うのに付き合う。
しかし雪絵は夏休みに入ってすぐに、書置きを残し行方不明になってしまう。
雪絵の母から問われたことから凪は雪絵を探すことにする…

理論社のミステリーYA!シリーズです。
いつもの永井さんは大人の女性が主人公なのですが、今回はYAということもあり女子高生。
これがなかなかイケてる。
凪はちょっとクールな女の子で一匹狼的なところもあり、女の子が憧れる女の子では。
ナンパな男の子に絡まれても、上手く対処してるんですよね。
ボディガードのような外人の知り合いもいてかっこいいんだわ。
こういう魅力的な主人公なので、テンポよい話も面白かったです。
出来すぎなとこもあるけど、それはそれでよし。中高生向きの本でもあるし。

いつもの永井さんらしく人の嫌な部分もちょっと見せてくれてます。
おばあちゃん方がいいわー。

このミステリYA!シリーズは執筆陣が豪華ですね。
これから刊行予定を見ているだけでも楽しみになってきます。

ミハスの落日 


ミハスの落日

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livedoor BOOKS
書評/ミステリ・サスペンス



貫井さんはホントに巧い!巧いんだけど地味なんですよね。
でもそんなところが、妙にしびれたりするのです。
本書もそう。巧いんですよ。最後に、してやられた!ってなってしまいます。
どれもが外国を舞台にした短編。異国情緒がとてもステキなのです。
あとがきによれば実際にその国々を旅されたそうです。納得。

「ミハスの落日」
ある富豪の老人に呼び出された青年。二人には何があったのか…
読んでいると、この話読んだことがある…と思ったらアンソロジー集の「大密室」に載ってました。
そのときも確か地味だけど巧いなぁと感心した覚えがあります。
1度読んだのに結末を思い出せないまま、読み終えてしまいました。
ミハスは見たこともない土地なのですが、風景が目に浮かんでくるんです。
静かな旅行地…そんな印象の残る1編でした。

「ストックホルムの埋み火」
ストーカーのビデオ屋店員が引き起こした事件。その捜査に携わった刑事。
この話が1番好みでした。ストーカーの身勝手な心理、刑事の過去、同じく刑事だった父とのしがらみが
話に奥行きを持たせ、話にひき込まれていくのです。
はっとさせられる結末も控え、貫井さんの巧みさに驚かされます。

「サンフランシスコの深い闇」
保険調査員の男が、ある人物に頼まれ事故で夫を失った未亡人を調べるのですが…
これはアメリカ映画を観ているように楽しめました。
警察の面々や、未亡人の女性、証言してくれる人々。
それぞれに個性的で、ホントにこんな映画見てみたい。
最後は少々ブラックですよね。この先がどうなったのか…気になるようなそっとしておきたいような…

「ジャカルタの黎明」
日本人が登場するのはこの1編だけですね。主人公の娼婦の客となったのがこの日本人。
なんだか怪しい人物なのですが、彼女の話を聞いたりと信頼を得ているのです。
娼婦となったのも身勝手な夫のせいで、抜け出ることも出来ず運命を受け入れるだけ。
そんな彼女のまわりで事件が次々と起こるのです。
この話もひっくり返されますね。巧いわ。
女性心理も巧みなんですよね。

「カイロの残照」
アメリカ女性からのガイドの指名。女性一人旅でただの観光ではなく訳ありな様子。
そして彼女の頼みを聞き手助けをするのだが…
若き日の過ちは大きな代償となってやってくる。
悔いても悔いても元に戻ることはできない。
読み終えてモヤっとします。どうすれば彼はよかったのか…


派手さはないけど、結構好みの短編集でした。
「空白の叫び」も好評なので近々読みたいな。

暗渠の宿 


  • 著:西村 賢太
  • 出版社:新潮社
  • 定価:1470円(税込み)
暗渠の宿
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書評データ



「けがれなき酒のへど」
しみじみ女が欲しい、ごく普通の恋人が欲しい…
日雇い仕事の男、女が欲しいと風俗嬢相手に近づこうとするがことごとくふられる。
そんな中、優しくしてくれたソープ嬢の身の上を聞きある決心をする。
「暗渠の宿」
ようやく手に入れた女と同棲を始めることになるのだが、住む所さえままならない。
生活は始まれども女に不信を抱き、嫉妬に狂い、暴力をふるい修羅場の日々を送る…


最低の男。女のことばかり考え、なんとかものにしようと悪戦苦闘の日々を送り挙句の果てにはふられる。
まったくもって最低の男。
しかしこの男から目が離せなくなる。あまりにも滑稽だが、憎めない。
何故だ?
その醜い姿をさらけ出して、心根をぶちまけている姿にひきこまれている。
ところがあれだけ醜態をさらした男がふと見せる違った一面。
彼は大正期の作家藤澤清造に傾倒し、その全集を我が手で出版しようとし、月命日には菩提寺まで
弔いに出かけているのだ。
どうしてそこまで藤澤清造に惚れこむことができるのか。
彼は自分の姿を重ね合わせているのかもしれない。
さて女と同棲するになったけれども、どうも男は身勝手すぎる。
しかし女が可哀相と思えないのも不思議。
なんだか男の孤独は埋まらない気がする。孤独な者同士依存しているということなのか。
しかしどこからどこまでが事実なのか。私小説なのか、どうなのか。

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りかさん 

りかさん りかさん
梨木 香歩 (1999/12)
偕成社
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本当はリカちゃん人形が欲しかったのに、おばあちゃんが贈ってくれたのは市松人形の「りかさん」
こんなはずじゃなかったと思うようこだけど、りかさんの世話をするうちに楽しくなってくる。
りかさんが来てから1週間後、ようこはりかさんの声を聞く。


人形は人に愛される存在。人形にも色んな想いがあるのです。
なんだか自分が今までしてきたことを反省してしまいました。
きっと私の人形達は陰で泣いていたかもしれないです…
児童書とはいえ、なかなかあなどれないですよね、奥深い。
子供の世界を見ているのですが、背後にある大人の世界も見えてしまうんです。
その微妙なズレを感じ取ってしまうのも人形達。
彼女たちの話に耳を傾けることができたら、もう少し笑顔が増えていたかもしれないですね。

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家守綺譚 

家守綺譚 家守綺譚
梨木 香歩 (2004/01)
新潮社
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亡くなった学生時代の友人高堂の父に頼まれ高堂家の家守をすることになった綿貫。
四季折々に変化する自然と触れ合い、そこで体験する不思議な物語。


なんてステキな世界なのでしょう。
庭のサルスベリに懸想され、死んだはずの友人が床の間の掛け軸より訪ねてくる、不思議な犬ゴローと
出会い、河童・人魚・小鬼とも出会う。
自然を愛で、散歩を楽しみ、季節のものを食す。
100年前の日本はこういう世界だったのかもしれないですね。
ここに登場する植物たちも、ささやかなものばかり。
普段は忘れがちな植物も、四季を奏で立派に生きているのです。
幻想的な世界に酔うのですが、「生」と「死」にも考えさせられもの悲しく奥深い世界だと感じました。
最後の「葡萄」あの葡萄を食べていれば…
綿貫をこちらの世界に引き戻してくれたのは、家を守らねばという気持ち。
いろいろな不思議な生き物や隣のおかみさん、寺の和尚との出会い、綿貫は恵まれているのかも
しれないですね。

読まれた皆さんが手元に置いておきたい本とおっしゃってるのもうなずける本でした。
私も手元に置いて愛でたい本です。

ゆれる 

ゆれる ゆれる
西川 美和 (2006/06)
ポプラ社
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母の1周忌で故郷に帰ってきたカメラマンの猛。
猛は父とは折り合いが悪く、その間を取り持ってくれるのが、実家のガソリンスタンドを継いだ兄稔だ。
翌日ガソリンスタンドの従業員で幼馴染の智恵子と兄弟で蓮見渓谷に出かけるのだが、吊橋の上で
事件が起こってしまう…


2日にかけて読んだのですが、1日目に読んだ部分ではすべての登場人物が嫌いでなんとなくイヤな感じでした。
家業を継いだものの、なんの面白みのない生活を送り弟の活躍を喜んでいるように見える稔。
自分の気持ちを押し殺してへりくだっているとこが苦手。
故郷を捨て自分勝手に暮らしているが、安定した暮らしの兄に嫉妬を起こしてる猛。
男としての身勝手さがかなり苦手。
怒り散らし自分の我を通そうとする父も苦手。
境遇に同情するが、流れに身を任せて生きる智恵子も苦手。
弁護士の叔父!トシのわりに軽くないですか?苦手。
兄弟、親子の確執だけならともかく、父と叔父にも確執があるんですよ。
田舎暮らしがそんなにみじめか。
東京から車で帰ってこれる距離じゃないか。
なんて思いながら読んだのが1日目でした。
ところが2日目からは、俄然面白くなってくる。
おぉ、読まれた皆さんが言うザワザワ感ってこれだったのね。
心の奥底に眠る思いを曝け出し、兄弟の立場が心理的に逆転してくるところが絶妙で、
ザワザワさせられるんですよ。
田舎・家族に囚われていたのは、じつは稔じゃなかったのかもしれませんね。
血の繋がりのない第三者の岡島洋平が、重要なポイントになるのも皮肉です。

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