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八日目の蝉 

八日目の蝉八日目の蝉
(2007/03)
角田 光代

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不倫相手の家に忍び込み、赤ん坊を誘拐してしまう希和子。薫と名づけどうか1日でも長くそばにいられますようにと逃げ続ける…
希和子の身の上も哀れで、同情的に彼女を見ていたのですが、ふとこの幸せは人の不幸の上に成り立っているのものだと気付き、そこからは彼女の行動が認められなくなってしまいました。
後半は薫の本当の親も登場してくるのですが、薫に愛情がないように見えます。だけどそりゃそうなんですよね。
夫の不倫相手に育てられたわが子をどう接すればいいのか、わからなくなるのは当たり前だと思うのです。
それが人間というもの。ここで分け隔てなく育てれる人って、そうそういないですよ。
そう考えると希和子の犯した罪は、多くの人生を狂わせるものだったのだと思います。
身勝手極まりないものなんですよね。それに彼女自身気付いてるんだろうか?
なんだか気が重くなる一方で希和子が追い詰められて逃げ込んだ宗教まがいの団体で一緒に過ごした千草の登場で、救われたような気がします。
薫にとって過去を整理していくうえで、必要不可欠な人物だったのかな。薫に幸あれ…

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IN 

ININ
(2009/05/26)
桐野 夏生

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小説家であるタマキが、緑川未来男の「無垢人」に登場する○子を追求していく物語。
「無垢人」とは私小説とも言え、妻子がある緑川が愛人○子の存在に家庭が壊されていく話。
タマキ自身も不倫を清算した後で、「無垢人」に自分をどこか重ねているかのようだ。
とはいえ、少しもの足りなさがある結末でした。
私にはタマキが桐野さんとだぶってしまって、「IN」は私小説なんじゃないかと思わされてしまいました。
上手く作者の術中にはまったかしら…

東京島 

東京島東京島
(2008/05)
桐野 夏生

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夫が退職したのを機に夫に連れられ清子は世界一周の船旅に出たが船は難破、たどり着いたのは無人島だった。
数ヵ月後若者を乗せた船が難破、清子たちの住む無人島に流れ着く…

いやぁ面白かった。あまりにリアリティがなくて、彼らの狼狽ぶりを想像するだけで面白かった。
島には女は清子一人。若い男たちに囲まれてパラダイスかって思うかもしれないが、そうはいかないのが桐野さん。すごいね、エゴだよ。
リーダーシップを発揮するものもおらず、まとまってるようでまとまってないのは今の若者ってことなんだろうか?
途中から中国人たちがまた島に投げ出されるのだけど、こっちのほうがまとまっていてたくましいのはなんかほんま日本人ってひ弱なんだわって思わされる。
話が進むにつれどんどん滑稽になって、ワタナベのとこで笑ったわ。こうもまぬけぶりを発揮されては一生無人島から脱出することはムリなんじゃないかって思ってくるよ。
こういう読み方っていけないかしら…

実際にこういう事件が戦時中にあったそうです。アナタハン島事件だそうです。
同じように31人の男の中に女が1人…
絶対イヤだよ、私。


森に眠る魚 

森に眠る魚森に眠る魚
(2008/12)
角田 光代

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人はないものを欲しがり、それを手に入れるとまた次のものが欲しくなる…そんなことを考えながら読み終えました。
5人の主婦が子供を通して出会い、仲良くしているのですが、小学校受験の話が出てくることからすれ違いが始まっていきます。これがそのうち加熱していって…
子供をお持ちの人なら誰しもが自分の子供がよその子供と比べてどうなのか、気にした事はあるはず。特に劣っている場合は焦りにも似た気持ちになりますよね。ウチの子供は3月生まれなのでホントそうなのです。
その心理描写が角田さん、上手くって。最初と最後じゃそれぞれの印象がガラリと変わってしまうもの。イヤなやつはとことんイヤになっていくしね。このイヤな感じが角田さんらしくって、フフフ。
小さい子供を持つ主婦って閉塞した世界なんだよね。なかなか世間じゃ理解しがたいだろうけど。
息苦しい思いを彼女達はこれからも続けていくんだよね…

どこから行っても遠い町 

どこから行っても遠い町どこから行っても遠い町
(2008/11)
川上 弘美

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京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人びとの、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。川上文学の真髄を示す待望の連作短篇小説集。

最初の一編を読んだ時に、少し肩透かしをくらったかんじだったのですが、次々に読み進めていくと前の編に登場してきた人物が出てきていろいろ気になってくるのです。
この登場の仕方もあくまでもさりげないのです。
最後の一編を読むとなにかしら触れ合った人々は記憶にとどまるんだなと。
それがあくまで通り一遍の一であろうとなかろうと。そうやって日常は出来上がっていくんだと。
どの話もさりげない口調で穏やかに描かれているけど、これって結構ドラマチックですよね。
波乱万丈に思える人生も、本当は日常なのかもしれないのかしら…

一番印象に残った話は、雨の写真を撮るのが好きな女性と喫茶店「ロマン」の店主の話。
年代を超えて友情が芽生えてくる?ところがステキ。
「ねぇアタシを撮ってよ」なんて老女に言われたら…なんて粋なおばあちゃんなんでしょ。

いろいろなブログで感想を見たのですが、皆さん好評なんですよね。私がひっかるのは不倫の恋が多いってこと。
不倫ってそんなに日常的?結婚ってどんなもんなのかなと思いながら読んだのでした。

新世界より 

新世界より 上新世界より 上
(2008/01/24)
貴志 祐介

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こういう類の話はどちらかといえば苦手なのですが、これは面白かった!
といっても結構グロかったりするのですが(^^;
今から千年後の日本が舞台。その頃の人間は呪力を持ち暮らしていた。そこは子供たちが徹底的に管理されている世界だった。
十二歳の早季たちはグループで行った夏季キャンプで、あることを知る。これまで信じていた世界を覆すようなことを…
未知の生物を想像することは苦手です。でもそれを差し引いてもひきつけられるものがあった。
とにかく圧倒されてしまった。追い詰められていく恐怖にはこちらも冷や汗ものだし、早季たちが友を思う気持ちには切なくさせられる。
そして最後は人間としての倫理を問われたような気がする。決して未来の話じゃない、今に言い換えることができる話だと思う。
でも長かった…早季が過去をふり返るような手記といった形で書かれてるので、思わせぶりな書き方だったり、謎だらけだったりで、中盤までは勢いよく読めたのですが、終盤は結構きつかった。やりきれないところもあったからかな。最後はあれでいいのか?って私は思う。

新世界より 下新世界より 下
(2008/01/24)
貴志 祐介

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お縫い子テルミー 

お縫い子テルミーお縫い子テルミー
(2004/02)
栗田 有起

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すごく不思議な世界でした。こういうの好きかもしれない。いや、好きです。
ありえない話なのですが、もしかしたらこういうのアリなのかもしれない。
決してキレイな話ではないけでど、おとぎ話を読んでいるような気持ちでした。
テルミーこと鈴木照美は流しのお縫い子、16歳。住まいを持たずお客の家に居候して暮らしている。
仕事が終われば居候先を去っていく…
最初の客はナイトクラブで歌うシナイちゃん。それはテルミーの初恋の相手。かなわぬ恋の相手。

息をつかせないほどの言葉の流れに乗せられてテルミーの世界に引きこまれていってしまう。
まっすぐなテルミー。しなやかな強さはどこからくるのだろう。
不思議な話。不思議な世界。なぜかこの異質な世界が心地よい。

もう1篇は「ABARE・DAICO」
小学5年生の誠二は母子家庭。体操服をなくしたことを母に言い出せず、夏休みに留守番のアルバイトを思いつく。
こちらもありえないような話なのだけど、面白い。大笑いってわけじゃなくフフっていう小笑いが続くのですよ。
とある事件に巻き込まれたり、大人びた同級生を意識したり。
留守番先の坂井さんが、妙な想像ですごい人物になってます(笑)

どちらの話もよかったです。栗田さんはぜひ他の作品も読んでみたいと思います。


三面記事小説 

三面記事小説三面記事小説
(2007/09)
角田 光代

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実際におこった事件を、角田さんがフィクションに仕立てた短編集。
どの事件も聞いたことやテレビなどで目にしたことのある事件。
角田さんが描く物語は、本当に事件の背景にはこんなことがあったのではと思わせるものばかり。
事件は日常の中で起こっているのです。日常から非日常に向かっていってるのです。
物語に登場する人物は、あまりにも普通の人たちなのですが、もがきあぐねている人ばかりです。
そこから一歩だけ努力すれば抜け出せそうなのに、抜け出ることができないのです。
もしかしたら自分もこうやって深みにはまっていってしまうのでは…
そうなってもおかしくないことばかりなのかもしれません。
角田さんの描く人物像に少しぞっとさせられたような気がします。

メタボラ 

メタボラ メタボラ
桐野 夏生 (2007/05)
朝日新聞社
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沖縄の森をなにかから逃げる男。
しかし何から逃げているのか、自分は誰なのかここがどこなのかさえもわからない。
記憶を失った男が出会ったのは昭光という宮古島出身の男。
昭光もまたとある施設から逃げてきたところだった。
昭光から男は「銀次」という名前をつけてもらうことに。
男たちはコンビニ店員に救われ、彼女のアパートに行くのだが…

男が主人公のせいかいつものようなドロっとしたとこがあまり感じないような気がしました。
沖縄が舞台ということで、緩やかなのかな。
でも転がっていくようなこの男達の運命にひきつけられる。
それにしてもこういう生き方をしている人たちが結構いらっしゃるのですね。
私が若い頃はバブルの名残りが残っている頃で、ブランド志向が強かったような気がします。
でも生活できればいいって感じなんですよね、ここに登場してくる人たちって。
根の生えた生活をしようとすればしがらみが生じてくる。どっちがいいものか。
なんか羨ましいような、かといって自分の子供達がこうなってしまうとなると
やめて~と思ってしまったり(笑)

ギンジの過去は、悲惨なはずなのにあまり悲惨に感じなかったのですが、どうでしょうか?
どこかギンジの人の良さを感じてしまったからなのでしょうか?
ムムムー。どん底に落とされてなにがなんだかわからなくなる桐野ワールド中毒に
なってるのかしら、私。
ちょっと物足りなさも感じながら、メタボラはメタボラで面白かったと思うのでした。

なみだ研究所へようこそ! 

なみだ研究所へようこそ!―サイコセラピスト探偵波田煌子 なみだ研究所へようこそ!―サイコセラピスト探偵波田煌子
鯨 統一郎 (2004/01)
祥伝社
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メンタル・クリニック<なみだ研究所>で働くことになった臨床心理士の松本。
しかし所長の波田煌子は幼い容姿、貧相な知識にトボけた会話で松本は調子を狂わされる。
伝説のセラピスト波田煌子の診療とはいかに!


専門家から見れば、そんな…というような<なみだ研究所>。
しかし設定はさておき、煌子と松本、もう一人の所員(会計士)の小野寺の3人のやりとりが面白い。
煌子のおとぼけぶりにキリキリ舞いさせられてるのです。
そうはいえクライエントの前で、そんなに異論を唱えていいものなのか~。
最後の話はちょっぴりホロっとしますが、これからのそれぞれの活躍に期待できますね。
煌子には新たな話があるようなので、こちらも読んでみようと思います。

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