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悼む人 

悼む人悼む人
(2008/11/27)
天童 荒太

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直木賞受賞前に予約していたので、比較的早く図書館から借りることが出来ました。
楽しみにしてた本なのですが…
亡くなった人々を悼むたびを続ける静人。誰に愛され誰を愛しどのように人に感謝されたいたか訪ねその人を記憶に刻み悼む。
彼と出会うことでいろんな意味で転換を迎えた週刊誌記者の蒔野が印象的。彼が追いかける事件、父親との確執など、現実的で身につまされる思いでうっとくるとこがあった。
末期がん患者の静人の母巡子。彼女が死を迎え入れていく日々はある意味幸せなのかもしれない。
ただだからこそあの最後でよかったのかと不満が残る。
静人に関しても理解が難しいところもあった。死んだ人の情報を得るために新聞や週刊誌を読んだりするところがあるのだけど、なんだか死を求めているようで不快に思えてしまった…
人の生死を考えるには素晴らしい作品だと思う。ただ後半は私には不満が残る展開だった。
丸くおさめて欲しいわけじゃないんだけど、悔いが残ってしまうんじゃない買って思う。
彼が現実を受け入れる時、どう思うのだろう…

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白楼夢 


白楼夢―海峡植民地にて

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livedoor BOOKS
書評/ミステリ・サスペンス



1920年代、英国植民地シンガポール。大物華僑の娘、呂白蘭の死体を発見したことから、
日本人青年・林田は殺人の嫌疑をかけられ、警察と呂一族の双方から追われることになる…


この時代では、一旗あげようとした日本人がゴム園などの事業を起こしにシンガポールに
やってきていたようです。
林田も同じようになにかを始めたいとやってくるのですが、日本での学生時代の友人が
この地の大物架橋の息子で、それが理由で日本人たちから一目置かれる存在となるのです。
もちろん先にシンガポールにやってきている日本人たちは海千山千をこなしてきた者たちばかり。
林田がどうやって渡り合っていくのか、これが面白いんですよ。
サクセスストーリーですな。映画みたい。
冒頭で大物架橋の娘であり、友人の妹である白蘭の死体を発見するのですが、ここではまだ
白蘭との関係はわからないのです。
この事件と林田のシンガポールでの出来事とが交互に語られ、謎を深めてるのです。
信頼を勝ち得ていたはずの林田がナゼはめられたのか…
色々な要素で楽しめました。
舞台が大正の頃でレトロでモダンな雰囲気で、一昔前の日本映画のようでした。
勝気でわがままな白蘭タイプって、この手の映画のヒロインにピッタリです。
この地に娼婦として連れてこられている日本人の耐えている姿と対照的です。
こういう時代があったことを知るいいミステリでした。

症例A 

症例A 症例A
多島 斗志之 (2003/01)
角川書店
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新しくS病院に赴任してきた精神科医の榊は17歳の少女亜左美を担当する。
前任者の診断では「分裂症」となっていたが、榊は「境界例」ではないかと疑う。
その診断をめぐって臨床心理士広瀬由紀は、異論を唱えてくる。
そして由紀はある精神分析医に会って欲しいと榊に言ってくる…

面白かったです!
いろいろな要素が組み合わさりボリュームがあるのに飽きることがなかったです。
主人公である榊には、過去の患者で苦い経験があり同じ過ちを繰り返してはいけないと
亜左美には慎重に接するのです。
この亜左美という少女もクセ者。人を気まぐれで振り回すし、同性から見たらイヤなタイプなのです。
これに広瀬由紀がどう絡んでくるんだと思ったら、そうなの!?という展開で驚かされるのですが
その説明役となる精神分析医岐戸医師の登場で、安っぽい展開にはならないのです。
精神を患う病気のことも非常に詳しくわかりやすい。ガリバー旅行記の話も知らなかった。
今では「分裂病」とは言わないそうですがあえてそのまま使っているそうです。
「多重人格」も北米だけで、それ以外の地域では疑問視されてることも知らなかった。
なんだか知らないことが多いのだなと実感。
精神病院での話と東京の博物館での疑惑が交互に出てきて、いったいどこで繋がってくるんだと思っていたら
ミステリーらしく繋がりました。
この部分はいるのか?とも思ったのですが、以前読んだ「汚名」も戦中戦後が扱われていたし
戦争によって何かが狂わされた人々のことを伝えたかったのではと、思いなおしました。
最後がちょっと不満なのです。もうちょっと先まで進んで欲しかった。
亜左美はこれからどうなるんだろう…知りたいしいい方向に進んで欲しいです。
気になる終わり方はモヤっとします…でも面白かった。

汚名 

汚名 汚名
多島 斗志之 (2003/01)
新潮社
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高1の頃私は従姉の美那と藍子叔母の元にドイツ語を習いに通っていた。
叔母は人と関わりを持たず私達にも無関心な態度だった。
そして孤独なまま亡くなった…
それから数十年美那の母親の葬式で美那と藍子叔母の話になり、藍子叔母の過去に触れることとなる…

藍子叔母の輝いていた時代は戦時中。
明るく美しく恋に一本気な叔母の姿と世捨て人のように生きる晩年の姿が重ならない。
何があったのか…それを謎解くように物語は進んでいく。
そして突き当たったのは戦時中日本を揺るがした大事件。
叔母は渦中の人物の関係者としてどのように世間から見られていたのか…
話の内容はとても興味深い。だけどひとつ物足りない。
側面でしか見ることができないからなのか。
それとも意外な結末に興ざめなのか…

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綺譚集 

綺譚集 綺譚集
津原 泰水 (2004/08)
集英社
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怖ろしく耽美な話がぎゅっと詰まった短編集です。
タイムリーと言ってはいけないのですが、いじめを扱った「夜のジャミラ」が
1番怖かった。夜に読んだし。
いくつかの話の中に死んだことを受け入れることができないの者たちがいたのですが、
ほんに怖ろしいことです。
死んでもなお苦しみを背負わなければいけないなんて。
この世にはあの世にいけない魂が数多の数漂っているのかもしれないですね。
それにしても普通の世界からいきなり不条理な歪んだ世界にかわるのがスムーズで、
不思議な感覚でした。
狂気は紙一重のところに潜んでいるのですね。
語り口調の文章が美しいです。
血まみれだろうが、腐っていようがその美しさを受け入れてる自分も怖いです。
津原世界に引き込まれちゃうんですねー。

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夜市 

夜市夜市
恒川 光太郎

角川書店 2005-10-26
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何でも売っている夜市。
幼い頃夜市に迷い込んでしまった祐司は、夜市から抜け出すために
弟と引き換えに「野球選手の才能」を買った。
夜市から現実の世界に戻ると、そこには弟の存在自体が消えていた…
罪悪感を抱えた大人になった祐司は、友人のいずみを誘いもう1度夜市に足を踏み入れる…

「夜市」もよかったのですが、もう1つの「風の古道」のほうが好みでした。
不思議な道に迷い込んでしまった二人の少年の話です。
そこは人間の世界じゃないんですよね。
踏み入れてはいけない領域に踏み込んでしまった彼ら…
この話に風穴を開けられました。
なんともいえない悲しみが満ちていますよね。
どうして迷い込んでしまったのか…
運命は皮肉です。
結末も悲しいものなのですが、これから彼が背負っていかなければいけないものを考えると、重いです。
軽々しく入ってはいけない世界があるのでしょうね。
ホラー大賞らしいのですが、ただ怖いっていうホラーじゃないです。
やるせなく悲しいです。

13階段 

406210856913階段
高野 和明

講談社 2001-08
売り上げランキング : 6,206

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再読しました。
前に読んだ時は、次々に降りかかってくる謎や、誰が犯人なんだー
っていう思いで、スピーディな展開を楽しみました。
今回はそれぞれがかかえる苦悩が重く感じました。
身に覚えのない罪を背負った死刑囚として、「死」を待っている樹原。
死刑執行に携わり苦悩を抱えてしまった南郷。
罪を償い出所してきたが現実の厳しさに戸惑う三上。
冤罪を晴らすということで、何かを見つけようとしていたのかもしれませんね。
彼らに好意的な検事中森も印象的でした。

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